煙硝庫えんしょうぐら)” の例文
一旦、このあたりも捜したなれども、かつて知れず、早や目もくらみ、心も弱果よわりはてました。処へ、煙硝庫えんしょうぐらの上と思うに、夕立模様の雲は出ます。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そうすれば煙硝庫えんしょうぐら人穴城ひとあなじょう野武士のぶしも、この望楼ぼうろうもおいらもこいつも、いっぺんにけし飛んでしまうんだ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はあ、これなればこそけれ、聞くも可恐おそろしげな煙硝庫えんしょうぐらが、カラカラとしてはしゃいで、日が当っては大事じゃ。」
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「笑っていろ、笑っていろ、そして、いまに見ているがいい、この下の煙硝庫えんしょうぐら破裂はれつして、やぐらもきさまもおいらも、一しょくたに、みじんに吹ッ飛ばされるから」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
森の中から背面うしろ大畠おおばたけが抜けられますと道は近うございますけれども、空地でもそれが出来ませんので、これから、ずっと煙硝庫えんしょうぐらの黒塀について、のぼったり、くだったり
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ここは、赤穂城のうしろにある脇山わきやまの頂きだ。藩の煙硝庫えんしょうぐらがあるので、見張人が詰めているわけである。横川勘平は、五両三人扶持の軽輩で、役名は徒士かち、仕事は、この山の上の煙硝番だった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)