無役むやく)” の例文
外記は今まで番士を勤めていたが、去年の暮れに無役むやく小普請こぶしん入りを仰せつかったというのであった。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
祖父の代までは微禄の御家人で、本所のほうの小屋敷に住んでいたらしい。父が家督をし、祖父が亡くなるとまもなく、小普請組こぶしんぐみのうち十年無役むやくの者が召放めしはなしになった。
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「四谷伊賀町に、三千石の大身たいしんで伊賀井大三郎様という旗本がありますがね、無役むやくで裕福で、若くてい男で、奥方がみっともなくて、道楽強いと来てるからたまりませんや」
無役むやくなりとも表高千二百石の大身ですから、無論のことに一丁四方を越えた大邸宅で、しかも退屈男の面目は、ここに於ても躍如たる一面を見せて、下働らきの女三人、庭番男が二人
旗本に限らず、御家人に限らず、江戸の侍の次三男などと言ふものは、概して無役むやく閑人ひまじんであつた。
半七捕物帳:01 お文の魂 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
宮本又市は三百石の無役むやくで、無役のまま藩主綱宗の側近に仕えていた。住居は小者長屋の近くにあった。姉弟が掃除井戸のところまでいったとき、向うから走って来た者があった。
旗本に限らず、御家人に限らず、江戸の侍の次三男などというものは、概して無役むやく閑人ひまじんであった。
半七捕物帳:01 お文の魂 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)