潜戸くゞり)” の例文
旧字:潛戸
仲間の者に八千兩の小判を持出させて、内から潜戸くゞりを閉めて置けるのもあの女だ。雨戸は外から締めただけでも、下のさんがひとりでおりる
お袖は一切のことを姉のお幾の仕事と知り、翌る日の朝早々、離屋の雨戸を外から締め、庭の潜戸くゞりを閉ざして出來るだけ證據を隱しました。
七重八重と言ひえが、十重二十重とへはたへに嫁の衣裳をかけ並べ、木戸も潜戸くゞりも開けて、御町内の衆へ豊樂の見物勝手だ、いやその評判といふものは——
氣の付いたのは寅刻なゝつ(午前四時)少し前、それから大騷動になつたが、庫裡の潜戸くゞりを外からコジ開けてあつたから、泥坊は外から入つたに違げえねえ
納屋の裏にはもう一つの潜戸くゞりがあり、その外は雜木に圍まれ、お寺の建物に塞がれて、こんなところに、こんな場所がと思ふやうな人目につかぬ空地があります。
「そんな事があるものか、御身分柄内々の質入だ。主人に逢へば判る、潜戸くゞりをちよいと開けてくんな」
一應住職にも小僧にも逢ひ、壞された潜戸くゞりから、掘り返された新墓、砂利や古金を詰めた三つの千兩箱を見すましましたが、八五郎の報告以上の手掛りは一つもありません。
話にならないよ、平次親分。曲者といふ奴は、外からばかり來るものと思ひ込んでゐると、昨夜の奴は屋敷の中から飛び出すぢやないか、あつと言ふ間もありやしない。潜戸くゞり
「手引があるなら、あんな岩乘がんじよう潜戸くゞりを、外からはづすやうな不器用なことはしねえよ」