漢楚軍談かんそぐんだん)” の例文
この素裸すはだかなクーリーの体格を眺めたとき、余はふと漢楚軍談かんそぐんだんを思い出した。昔韓信かんしんに股をくぐらした豪傑はきっとこんな連中に違いない。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すなわち、「真田三代記さなださんだいき」、「漢楚軍談かんそぐんだん」、「三国志さんごくし」といったような人間味の希薄なものを読みふけったのであった。
科学と文学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
けれどもこれだけの用意さへすれば、果して彼等の云ふやうに、人間らしい英雄を示し得るであらうか? たとへば諸君の軽蔑する「漢楚軍談かんそぐんだん」をひらいて見るが好い。
大久保湖州 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
漢楚軍談かんそぐんだん忠義水滸伝ちゅうぎすいこでんのようなものばかり読んだのでございます。
女難 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
漢楚軍談かんそぐんだん」「三国志さんごくし」「真田三代記さなださんだいき」の愛読者であったところの明治二十年ごろの田舎いなかの子供にこのライネケフックスのおとぎ話はけだし天啓の稲妻であった。
読書の今昔 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)