“漕出”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
こぎだ80.0%
こぎい10.0%
こぎいだ10.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
聞けば、向う岸の、むら萩にいおりの見える、船主ふなぬしの料理屋にはもう交渉済で、二人は慰みに、これから漕出こぎだそうとする処だった。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
巨勢はぬぎたる夏外套なつがいとうを少女にせて小舟おぶねに乗らせ、われはかい取りて漕出こぎいでぬ。雨は歇みたれど、天なほ曇りたるに、暮色は早く岸のあなたに来ぬ。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
はしけくさりきて本船と別るる時、乗客は再び観音丸かんのんまると船長との万歳をとなえぬ。甲板デッキに立てる船長はぼうだっして、満面に微笑えみたたえつつ答礼せり。はしけ漕出こぎいだしたり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)