減毀げんき)” の例文
嗚呼あゝ天地味ひなきこと久し、花にあこがるゝもの誰ぞ、月にうそぶくもの誰ぞ、人世の冉々ぜん/\として減毀げんきするをし、ちうとして命運のわたくししがたきを慨す。
哀詞序 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
歴史の頁数は年毎に其厚さを加ふれど、思想界の領地は聊爾いさゝか減毀げんきせらるゝを見ず。あたかも是れ渡船に乗じて往来する人の面は常に異なれど、渡頭、船を呼ぶの声は尽くる時なきが如し。
思想の聖殿 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
彼は情熱を余りある程に持ちながら、一種の寂滅的思想を以て之を減毀げんきしつゝあるなり。彼がトラゼヂーの大作を成さゞるは、他にも原因あるべけれど、主として此理あればなるべし。
情熱 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)