海老茶袴えびちやばかま)” の例文
悪戯盛いたづらざかりの男の生徒、今日は何時にない大人びた様子をして、羽織袴でかしこまつた顔付のをかしさ。女生徒は新しい海老茶袴えびちやばかま、紫袴であつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
束髪そくはつで、眼鏡で、大分西洋がつたハイカラ式の弁天様だ、海老茶袴えびちやばかま穿いてねい所が有難い」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
平素ふだんうるさいと思ふやうな女の児の喋舌おしやべりまで、其朝にかぎつては、可懐しかつた。色のめた海老茶袴えびちやばかまを眺めてすら、直に名残惜しさが湧上つたのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ある人は紙の袋に封じたまゝの銀貨を鳴らして見る、ある人は風呂敷に包んで重たさうに提げて見る、ある女教師は又、海老茶袴えびちやばかまひもの上からでゝ、人知れず微笑んで見るのであつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)