水練すいれん)” の例文
大磯の海水浴のようやく盛りになった最中、奴の海水着の姿はいつでも其処に見られ、彼女の有名な水練すいれんは、この海でおぼえたのであった。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
藩中でも屈指くっし水練すいれんの者がかはる/″\飛び込んで探りまはつたが、水の底からは女の髪の毛一筋すらも発見されなかつた。
梟娘の話 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
大田南畝おおたなんぽが先人自得翁の墓誌を見るに、享保二十年七月、将軍吉宗公中川狩猟の時徒兵の游泳をけみするや自得翁水練すいれんに達したるを以て嘉賞する処となりしといふ。
礫川徜徉記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
たとえば五年も三年も水練すいれんを勉強してようやく泳ぐことが出来るようになった所で、その水練をめて今度は木登りを始めようと云うのと同じ事で、以前の勉強が丸でくうになると
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
源「成程伯父さんは水練すいれんを御存じないが、矢張り船頭がいるからいけないよ」
「貴公。水練すいれんは達者かな。」と、山下は念を押すようにいた。
鐘ヶ淵 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)