いび)” の例文
つぶれた鼻に、いびつな耳、一目でボクサアとわかる、その男は、あまりにも、みすぼらしい風体ふうていと、うつろなひとみをしていました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
いびつな性格がさうなるとますます露骨になつて不愉快であるらしかつた、それでも店へ出ることはもとよりやめなかつた、いつまでも「たむら」の看板娘であると信じてゐたかつた
一の酉 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
春の山いびつながらも円きかな
七百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
永々と面白くもない時を費して、最後にやつと形をなすのは、気に入らないなぞと云う単純な失敗の不快さに終らない。いびつな仕事の結果は、私の全身心ともに醜くひん曲げて了ふ。
大凶の籤 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
高くつつた黄色い電燈の光を裏から受けてゐるので埃の浮いて見えるいびつな日本髪の頭を傾け、彼の様子を——今にも泣出さんばかりのその表情を、けげんさうに、打守るのであつた。
釜ヶ崎 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)