正宗白鳥まさむねはくちょうさんが角帽生という仮りの名でお書きなされたものの中に、大学の文科においでなさった頃の博士と、前東京控訴院長大塚正男氏の長女の楠緒さんとは
大塚楠緒子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
四十三、四年頃にいたりて正宗白鳥まさむねはくちょう浜町の私窩子を描き、小栗風葉おぐりふうようは鶴巻町辺の酌婦しゃくふの事を小説に書きしことあるやうに覚えしが今その名を憶ひ得ず。暫く後考こうこうつ。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
正宗白鳥まさむねはくちょう氏ではないが、私自身でさえ、時にはこんな歴史小説などをよくも、とおそれられもする。しかし読者は歴史の時点をいつも今日の自分の中において読んでいることは確かだと思う。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
正宗白鳥まさむねはくちょう氏は私の藤村嫌いのことを多分知っていて、故意に私に聞かせたのではないかと思うが、数年前熱海の翠光園で相会した時、今読み返してみると藤村の作品に一番打たれるといっておられた。
文壇昔ばなし (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
その時の客は、正宗白鳥まさむねはくちょう氏だったのだ。
遠藤(岩野)清子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)