柴舟しばぶね)” の例文
王子おうじ宇治うじ柴舟しばぶねのしばし目を流すべき島山しまやまもなく護国寺ごこくじ吉野よしのに似て一目ひとめ千本の雪のあけぼの思ひやらるゝにやここながれなくて口惜くちおし。
柴舟しばぶねも畑の農夫もみな帰ったのに秣山に草をくう美しい獣の群はよい草の香に酔いしれて穴に帰ろうともしない。
島守 (新字新仮名) / 中勘助(著)
今も変らぬ柴舟しばぶねが、見る/\橋の下を伏見ふしみの方へ下って行く。朝日山から朝日が出かゝった。橋を渡ってまだ戸を開けたばかりの通円茶屋つうえんぢゃやの横手から東へ切れ込み、興聖寺こうしょうじの方に歩む。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)