松女まつじょ)” の例文
祖父そふにつきはなされた松女まつじょ祖母そぼにまつわって祖母そぼにしかられ、しくしくべそをかいて母のこしにまつわるのである。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
その主馬之進の妻の松女まつじょとの顔で、その三人はとうに腰かけ、卓の上の蝋燭の燈の下で、渦のように廻っている淀屋の独楽を、睨むようにして見守っていた。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それは甲州街道で、このがんりきの百が男装した松女まつじょのあとを、つけつ廻しつしていた時に、よそながら守護したり、取って押えたりして、お松を救い出したのはこの人であります。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
頼母にとっては松女まつじょの命などより、淀屋の財宝の方が大切なのであった。主税やあやめなどを討ってとるより、独楽の秘密を解くことの方が、遥かに遥かに大切なのであった。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
松女まつじょはおじいのひざにのってかきってる。源四郎げんしろうもようやく掃除そうじをやめたらしい。くまでやほうきやくわなどを長屋ながやのすみへかたづけている。そとは雨のるのも見えぬほどれてきた。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
お葉は、松女まつじょの腕を握り、亭から外へ引き出した。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)