本能むし)” の例文
一人の屠手は赤い方の鼻面を確乎しつかおさへて、声をはげまして制したり叱つたりした。畜生ながらに本能むしが知らせると見え、逃げよう/\と焦り出したのである。黒い佐渡牛は繋がれたまゝ柱を一廻りした。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)