書画しょが)” の例文
旧字:書畫
書画しょが骨董こっとううことが熱心ねっしんで、滝田たきたさん自身じしんはなされたことですが、なにがなくて日本橋にほんばし中通なかどおりをぶらついていたとき
夏目先生と滝田さん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
この青蛙堂の広間で、俳句や書画しょがの会が催されることもある。怪談や探偵談などの猟奇趣味の会合が催されることもある。
と、茶の催しや、書画しょが骨董こっとうの交わりの席に誘って見ても、いつも、頭が痛いとか、気分がすすまぬとか云って、陽陰ひかげの部屋を好む左兵衛佐であった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
このひとけば、役所やくしょとどけのことも、また書画しょが鑑定かんていも、ちょっとした法律上ほうりつじょうのこともわかりましたので、むらうち物識ものしりということになっていました。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
好人物こうじんぶつで、善人で、人にだまされやすい弱い鈍い性質を持っていながら、贋物にせもの書画しょがを人にはめることを職業にしているということにはなはだしく不快を感じた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
彼れ居常他の嗜好しこうなし、酒を飲まず、たばこを吹かず、その烟を吹かざるは、彼が断管吟の詩に徴して知るべし。書画しょが、文房、骨董こっとう、武器、一として彼の愛を経るものなし。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
長塚が先生に物を乞うことがある書画しょがなど、こんな物を何すると叱る、しばらくして先生貰ってもえでしょうという、馬鹿と叱る、またしばらくすると先生貰ってもえでしょうという
正岡子規君 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
ただ彼女に気がかりだったのは父が書画しょが骨董こっとうまでもずんずん妾宅へ運ぶことだった。お鈴はお芳が女中だった時から、彼女を悪人と思ったことはなかった。
玄鶴山房 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)