曖昧模糊あいまいもこ)” の例文
しかし畢竟ひっきょうするに、吾人ごじんはくり返して言うが、本戦争のラッパは亀裂のはいった音をしか出さなかった。その全体は曖昧模糊あいまいもことしていた。
曖昧模糊あいまいもこたる演奏で満足したのは、もはや過去のことになってしまった。芸術から明確な角々と、冷たい美しさを要求するのが、次の時代の好尚になることであろう。
こちらは君に逃げられてしまって、あのまま今以て曖昧模糊あいまいもこ。美佐子は相変らず須磨へ出かける。僕は京都の老人のお供で淡路へ来ている。そして大いに見せつけられている。
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
凡て曖昧模糊あいまいもこたる怪談ばなしかあるいは夢物語以上の確実性を持ったものではなく、実際的な当局者としては、そんな外部からの怪物を信じる前に、凡ての戸締りが厳重に出来ていた点に基き
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)