政廟せいびょう)” の例文
二条天皇のちょう、後白河上皇の院、二つの政廟せいびょうの下に、藤原信西入道しんぜいにゅうどうが、保元以後、頭角をあらわして、ようやく、独裁者らしい強権を振舞っていました。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
民衆のそういう感覚は、眼に見ない政廟せいびょうのことではあるが、たいがい当らずといえども遠くないところをさとっていた。事実、その紛議ふんぎは、幾日も城内で繰り返されていた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平定したるに、軍功ありといつわりて、政廟せいびょうの内縁などたのみ、みだりに官爵をうけ或いは、功ありと自称して、州都に私威を振舞う者多く聞え、よくよく、正邪をたださるべし
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宋朝そうちょう初期のころには、紫雲しうん薫香くんこう精舎しょうじゃの鐘、とまれまだ人界の礼拝らいはいの上にかがやいていた名刹めいさつ瓦罐寺がかんじも、雨露うろ百余年、いまは政廟せいびょうのみだれとともに法灯ほうとうもまた到るところほろびんとするものか
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)