拱廊きょうろう)” の例文
拱廊きょうろうのあいだから見あげると、青い空がわずかに見え、雲が一片流れていた。そして、寺院の尖塔せんとうが太陽に輝いて蒼天そうてん屹立きつりつしているのが眼にうつった。
身をひるがえして、日も射さねば仄暗ほのぐら拱廊きょうろうをやや急ぎ足に渡つて行く。黒い影が、奥まつた急な階段をものの二丈ほど音もなく舞ひ昇つて、やがて上の姫の居間のしきいに立つた。
ジェイン・グレイ遺文 (新字旧仮名) / 神西清(著)
それからあなたはどこかへ行かれてしまいました。一度オデオンの拱廊きょうろうの下で新聞を読んでいました時、あなたが通られるのを見たように思いました。私は駆けてゆきました。
入って行くときに通った長い拱廊きょうろうの内面の全部とが、念入りに銅で蔽われているところをみると、それは明らかに遠い昔の封建時代には地下牢ちかろうというもっとも悪い目的に用いられ
破風や小塔や拱廊きょうろうや噴水などが、妙にいかめしくまた親しみ深く並んでいるのを見るや否や、遥かな夢の柔らかなしかも鋭い芳香を運んで来る風の——強い風の圧力を、再び顔に感ずるや否や
おおマダム街の鄙唄ひなうた! おおオブセルヴァトアールの通路の鄙唄! おお夢みる兵士ら! 子供をもりしながらその姿を描いて楽しむかわいいおんなら! オデオンの拱廊きょうろうがなければ
そして待ち受けていた召使に馬をとらせると、玄関のゴシック風の拱廊きょうろうに入った。そこからはしのび足の侍者が、無言のまま、多くのうす暗い入り組んだ廊下を通って主人の書斎へと私を導いた。
そこではまだ、商店は開いており、拱廊きょうろうの下にはガス灯がともってい、女らは店で買い物をし、レーテル珈琲コーヒー店では客が氷菓子を食べ、イギリス菓子屋では人々が小さな菓子を食っていた。
評議するならしろ、やくざ者め! オデオンの拱廊きょうろうで新聞なんか読むからそういうことになるんだ。一スーの金を出して、それでもう、やれ識見だの知力だの心だの魂だの精神だのができ上がる。