我無者羅がむしゃら)” の例文
見掛けははなは仰山ぎょうさんな、その現われるや陰惨な翳によって四囲をたちま黄昏たそがれの中へ暗まし、その毒々しい体臭によって、相手の気持を仮借かしゃくなく圧倒する底の我無者羅がむしゃらな人物であった。
小さな部屋 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
斯んな風に激しく私は興奮して、もはや我無者羅がむしゃらわめくようになるのであった。すると辰夫は粛然とえりを正して深く項垂うなだれ、歴々とじらう色を見せて悲しげに目を伏せてしまうのだ。
(新字新仮名) / 坂口安吾(著)