懐炉灰かいろばい)” の例文
旧字:懷爐灰
上清じょうせいが店の蚊遣香かやりこう懐炉灰かいろばいに座をゆづり、石橋の田村やが粉挽く臼の音さびしく、角海老かどえびが時計の響きもそぞろ哀れのを伝へるやうになれば
里の今昔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
また電扇の研究と聯関して気流の模様を写真するために懐炉灰かいろばいの火の子を飛ばせるといったようなことも試みた。
工学博士末広恭二君 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
おなじ町の軒並び二町ばかり洲崎すさきの方へ寄った角に、浅草紙、束藁たわし懐炉灰かいろばい蚊遣香かやりこうなどの荒物、烟草たばこも封印なしの一銭五厘二銭玉、ぱいれっと、ひーろーぐらいな処を商う店がある
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その麻殻あさがらからは懐炉灰かいろばいが作られます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)