性質ひと)” の例文
文公ぶんこう、そうだ君の名は文さんとか言ったね。からだはどうだね。」とかどばった顔の性質ひとのよさそうな四十を越した男がすみから声をかけた。
窮死 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
知らぬ顔して鼻高々とその日その日を送りくさるか、あまりに性質ひとのよ過ぎたる良人も良人なら面憎きのっそりめもまたのっそりめと、折にふれては八重縦横に癇癪かんしゃくの虫ね廻らし
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
元来性質ひとの良い邪推などの無い旦那だんなだから多分気が附かなかっただろうと信じた。
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
余りに性質ひとの好過ぎたる良人うちも良人なら面憎きのつそりめもまたのつそりめと、折にふれては八重縦横に癇癪の虫跳ね廻らし、自己おのが小鬢の後毛上げても、ゑゝ焦つたいと罪の無き髪を掻きむしり
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
真実ほんとうにどうしたんだろう」とお源は思わず叫んだ。そして徐々そろそろ逆上気味になって来た。「もしか知れたらどうする」。「知れるものかあの旦那は性質ひとが良いもの」。「性質ひとの良いは当にならない」。
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
性質ひと善良いいのは魯鈍のろまだ」。と促急込せきこんでひとり問答をしていたが
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)