忙殺ぼうさい)” の例文
なぜこれほどの地面をむなしく明けておくかは、家屋の発展に忙殺ぼうさいされつつある東京ものの眼には即時の疑問としておこる訳であるが
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
主婦は老人や子供の世話に忙殺ぼうさいされて居た。荷積の指図もしなければならなかつた。送つて来てれた人々の相手にもならなければならなかつた。
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
その晩はまた翌日あくるひの仕事に忙殺ぼうさいされなければならなかった。そうして島田の事はまるで忘れてしまった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
当面に忙殺ぼうさいされる彼らの胸にはかつてこうした問題が浮かばなかった。自分たち自身の今にどんなになるかをすら領解し得ない子供らは、無論今にどうするだろうなどと考えるはずがなかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)