心丈夫こころじょうぶ)” の例文
「じゃ行って見るか。げに嫌だったら無理に苦労して御厄介になっていなくても、そうとなりゃこの子がいるから心丈夫こころじょうぶだあね」
偉大なる過去を背景に持っている国民は勢いのある親分を控えた個人と同じ事で、何かに付けて心丈夫こころじょうぶである。
『東洋美術図譜』 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
政雄は思いきって起きて階子段はしごだんけおりた。下には電燈がいていた。平生いつも点けっぱなしにしない電燈が点いているのは老人がもう起きている証拠だと思って政雄は心丈夫こころじょうぶに思った。
女の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
あるいは参詣の人たちが垢離こりを取った姿のままで、帰りにどやどやとその家に寄って行くこともある。こういう声を聴くと、たとえようもなく心丈夫こころじょうぶになり、また元気がつくものだそうである。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
槙雑木まきざっぽうでもたばになっていれば心丈夫こころじょうぶですから。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)