徴候しるし)” の例文
それにつけても思うのは、このごろ江戸に起った貧窮組、浅ましいようでもあるし、おかしいようでもあるが、あれもまた時世をいましむる一つの徴候しるし
したがって、文字を解することは、かえって生命力衰退の徴候しるしとしてしりぞけられた。悟浄が日ごろ憂鬱ゆううつなのも、畢竟ひっきょうかれが文字を解するために違いないと、妖怪ばけものどもの間では思われておった。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
それは業病ごふびやう徴候しるしだよ、そのまだらなところは、突いても切つても痛くはない筈だ、——それから、その人の鼻の穴の中を見なかつたかな、——たゞれがあるかも知れない、氣の毒なことぢや
時の徴候しるしは分かねども
天地有情 (旧字旧仮名) / 土井晩翠(著)