“弩(ど)” の例文
すると、それにつれて、他の収縮しない二本との撚り目がほぐれてゆくので、それが拡がるだけ、弩(ど)の位置が下ってゆく訳でしょう。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
連弩というのは、まったく彼が発明した新鋭器で、鉄箭(てっせん)八寸ほどの短い矢が、一弩(ど)を放つと、十矢(し)ずつ飛ぶのである。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
同時にその常に伴うた二黒犬は魔が化けたのだとて、犬を人同様裁判の上衆民の見る所で弩(ど)を以て射殺した(コラン・ド・プランシー『妖怪事彙』)。
そうすると、幾分弦が弛むだろうから、その反動で撚(よ)り目が釘からはずれ、したがって弩(ど)が壁から開いて、当然そこに角度が作られなければならない。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
『三国志』に名高い呉に使して君命を辱(はずかし)めなんだ蜀漢の鄧芝(とうし)は、才文武を兼ねた偉物だったが、黒猿子を抱いて樹上にあるを弩(ど)を引いて射て母に中てしにその子ために箭(や)を抜き
とつぜんそこで、クルッと巨大(きょだい)なからだをまわしたと思うと、あッとあきれる人声をあとに、鷲(わし)は天目山(てんもくざん)の方角(ほうがく)へむかって、一直線(ちょくせん)——弩(ど)をはなれた鉄箭(てっせん)のように飛んでしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
のみならず、弩(ど)にも箭(や)にも、指紋はおろか指頭を触れた形跡さえなかったのであるが、その上、疑問はまず熊城の口から発せられて、自然発射説は最初から片影もなかったのである。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
賊は、山の中腹から、鉄弓を射、弩(ど)をつるべ撃ちして、容易に動かなかったが
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
城壁の上には無数の弩(いしゆみ)を据えている。それは一弩(ど)に十箭(せん)を射ることができ、鏃(やじり)には毒が塗ってあるので、これにあたると、負傷ということはない。みな皮肉爛(ただ)れ五臓を露出して死ぬのである。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)