引千切ひきちぎ)” の例文
手錠を引千切ひきちぎって逃げたっていう亜米利加でも指折りのカント・デックですから、柔道二段ぐれえじゃ歯が立ちませんや。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
体全体の引千切ひきちぎるような、虚無感の中でひくひくとはねる神経に、黒吉の、あの先天的なひねくれた気質が、調和し、心臓を掴み出されるような、底知れぬ魅力に、酔い痴れていた。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
我等の心を引千切ひきちぎ
早春散歩 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
村田は、その電線を引千切ひきちぎりながら
睡魔 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)