幾日いくんち)” の例文
「ええい、泣くなら泣け、おたんちん」——フィリップはどなった——「幾日いくんち待ってたと思やがるんだい。もう我慢はできねえ」
「そうね。巴里パリを立ってから、もう幾日いくんちか知ら」「もうそろそろ二月ふたつきだね。海峡でお前反吐へどついたでないか。西洋人の尼の奴もお前の側で反吐ついていたったね」
リギ山上の一夜 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「それからね、いくら毎日毎日騒いでもげんが見えないので、大分だいぶみんながいやになって来たんですが、車夫やゴロツキは幾日いくんちでも日当にっとうになる事だから喜んで騒いでいましたとさ」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「お前は馬を持ってるくせに何んだって馬耕をしねえだ。幾日いくんちもなく雪になるだに」
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
詩人 僕は一週間の予定だつたんだから……すると、もうあと幾日いくんちです。
世帯休業 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
だが幾日いくんちになるだろう? どうでもいいや、そんな事は。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「来月つて云つたつて、もう幾日いくんちもないぢやないか。」
花問答 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)