常緑木ときわぎ)” の例文
つげやサイプレスなどの常緑木ときわぎを、或は幾何学的な形に、或は動物だとか天体などになぞらえて、彫刻の様に刈込むことを云うのだ。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
など云うたぐいかえで銀杏いちょうは、深く浅く鮮やかにまたしぶく、紅、黄、かちあかね、紫さま/″\の色に出で、気の重い常緑木ときわぎや気軽な裸木はだかぎの間をいろどる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
梨は、見た所未熟だが、常緑木ときわぎの葉を敷いた浅い桶の中に、三角形に積まれて奇麗に見える(図233)。市場にあるものは、すべて奇麗で、趣味深く陳列してある。
彼女は、ベッドを降りて、ソッと窓を開いて見たが、外には何時いつに変らぬ庭園の常緑木ときわぎが、青々と茂っているばかり、何の異常も認められなかった。
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
窓の外には、ここの庭にも紅葉は色づいていたし、常緑木ときわぎの茂みに、うらうらと暖かい日ざしが照りはえて、ほの白く、うら悲しく、夢見心地の一ときであった。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)