帰省きせい)” の例文
旧字:歸省
東京の人たちは地方の事情をよく御存知あるまいが、僕たちの学生時代に最もうるさく感じたのは、毎年の夏休みに帰省きせいすることだ。
水鬼 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
尚お能く先生方の言う事を聞き、勉強を専一にし、寒いから風邪をひかぬようにしろ。そして試験休暇やすみには帰省きせいを待っているとしてあった。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
東京に永住の身となってからも、両親のある間はずいぶん帰省きせいしたけれども、ついにこのことあるを思い出さなかった、昔のそれを今発見したのである。
落穂 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
若狭わかさ帰省きせいするわたしもおなじところとまらねばならないのであるから、其処そこ同行どうかう約束やくそく出来できた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
数年後帰省きせいされたとき旧塾のなかでこの述懐談をしたことがあるという。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「蔓の成功だから郷里を光栄とすることおびただしい。此処の奴等は帰省きせいすることをお国へ帰ると言いますぜ。僕の方では田舎へ帰ると言います。人間の心理は微妙なものですよ」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
十年以前まだ両親のあったころは、年に二度や三度は必ず帰省きせいもしたが、なんとなしわが家という気持ちが勝っておったゆえか、来て見たところで格別かくべつなつかしい感じもなかった。
落穂 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
帰省きせいちゅうの美智子が死んだから直ぐに帰れというのだ。僕もおどろいた。
海亀 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
△法学士堀尾正晴氏 昨日馬橋村へ帰省きせい
負けない男 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)