そつ)” の例文
兄御を、そつの殿に落しておいて、御自身はのり越して、内相の、大師の、とおなりのぼりの御心持ちは、どうあろうのう——。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
昼に近いころまで源氏は寝室にいたが、そのうちにそつの宮がおいでになり、三位中将も来邸した。面会をするために源氏は着がえをするのであったが
源氏物語:12 須磨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
そこで、呉の地方へ舟を廻しますと、あたかも呉のそつが死んで、その棺にする杉の板が入用だということになったのですが、その土地にはよい板がない。
隆家たかいへの卿、大宰だざいそつとな
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何分、そつの殿のお都入りまでは、何としても、此儘このままで置くので御座りましょう。さように、人が申し聞けました。はい。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
丞相じょうしょう(大臣)の趙鼎ちょうていが遠く流されて朱崖しゅがいにあるとき、桂林けいりんそつが使いをつかわして酒や米を贈らせた。
そつの宮様はお美しいようでも品がおよろしくなくて王様というくらいにしかお見えになりませんでした
源氏物語:25 蛍 (新字新仮名) / 紫式部(著)
の葉を折りて、そつかうぶり
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其には、難波にあるそつの殿の立願りゅうがんによって、仏前に読誦とくしょうした経文の名目が、書きつらねてあった。其に添えて、一巻の縁起文が、此御館へ届けられたのである。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
夜が明けかかると、土地の役人が来て、荊州のそつがあなたを御招待して朝飯をさしあげたいと言った。
明け方近くなって古い回想から湿った心持ちになった源氏は杯を取りながらそつの宮に語った。
源氏物語:17 絵合 (新字新仮名) / 紫式部(著)
その頃、成徳せいとく軍のそつ王武俊おうぶしゅんという大将があった。