峠路とうげみち)” の例文
袴野はかまの麿まろを真中に十人の荒くれ男が峠路とうげみちにかかる供ぞろいの一行を、しんとして展望していた。
峠路とうげみちつじや入口にある大木の高い枝に、鉤になった小枝を下から投げあげて引懸ひっかかるかどうかを試みるうらないがあって、時々は無数にその小枝のかかっているを見かけるが
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
いつかうかうか船橋も渡り、道は稲葉山の裏にあたる日野から古市場への峠路とうげみちをのぼっていた。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雪の難——荷担夫にかつぎふ、郵便配達の人たち、その昔は数多あまたの旅客も——これからさしかかって越えようとする峠路とうげみちで、しばしば命をおとしたのでありますから、いずれその霊を祭ったのであろう
雪霊記事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
歩るいてさえ冷々ひやひやする峠路とうげみち馬背ばはいによりて行くとは、少し猛烈過ぎるけれども、吾々はそんな事にひるむ人間ではない。冒険は元々覚悟の上だ。「よかろう。それも面白いだろう」とたちまち一決。
汽車や電信電話の行き渡った今日でも、そういう効果は簡単に期せられない。まして山には峠路とうげみち、川には渡し場が全く無かったような遠い昔に、そういう交通の期せられたはずがない。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
つまりは山越えのみちを、牛馬の通るようにたいらにすることは、ひじょうに金のかかる仕事だったからである。多くの昔からある峠路とうげみちのふもとには、軽井沢かるいざわという地名がまだ残っている。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)