小鰯こいわし)” の例文
びしゃびしゃ、茣蓙ござを着て並んで、砂つきの小鰯こいわしのぴかりと光るのを売るあねえも同じで
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
娘はいつか懐妊して、三つの生き物を生み落したが、それは小鰯こいわしのような物であった。
わたしりあひに、御旅館ごりよくわんとは表看板おもてかんばんじつ安下宿やすげしゆくるのがあるが、あきのながあめ、陽氣やうきわるし、いやな病氣びやうき流行はやるとふのに、ぜん小鰯こいわしいたのや、なまのまゝの豆府とうふをつける。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのはぎの白さ、常夏とこなつの花の影がからみ、磯風に揺れ揺れするでしゅが——年増も入れば、夏帽子も。番頭も半纏のすそをからげたでしゅ。巌根いわねづたいに、あわび、鰒、栄螺さざえ、栄螺。……小鰯こいわしの色の綺麗さ。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)