小息こや)” の例文
雨の小息こやみもなく降りしきる響を、狭苦しい人力車のほろの中に聞きすましながら、咫尺しせきを弁ぜぬ暗夜の道を行く時の情懐を述べた一章も、また『お菊さん』の書中最もしょうすべきものであろう。
西瓜 (新字新仮名) / 永井荷風(著)