小噺こばなし)” の例文
だい/\と笠と柿を賣物にして、『親代々かさつかき』と呼んだといふのは小噺こばなしにあるが、それとは少し違ふやうだな、八」
貧乏臭い間の抜けた生活のちょっとした処に可笑味おかしみ面白味を見出して戯れ遊ぶ俳句、川柳、端唄はうた小噺こばなしの如き種類の文学より外には求めても求められまい。
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
この小噺こばなしめいた経験談にも、どうやら作為の跡が見えぬではありませんが、それならそれとして、やっぱり捨て難い味があり、そうした種類の打開け話としては
モノグラム (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「おおむね空想の産物たる作り話で、参会の人たちの娯楽のために語られる短い物語」というくらいの内容をもった「小噺こばなし」なる成語にたどりついたのであり、いわば
『グリム童話集』序 (新字新仮名) / 金田鬼一(著)
それを親爺が受取って、すました顔で、そうか、おれはまた八百屋の伝兵衛さんかと思った——という小噺こばなしを、この際道庵が思い出したから、それで不意に高らかに笑いを発したので、まあまあ
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
だいだいと笠と柿を売物にして、『親代々かさっかき』と呼んだというのは小噺こばなしにあるが、それとは少し違うようだな、八」