射倖心しゃこうしん)” の例文
これは下層民に金が多いのと、射倖心しゃこうしんが旺盛なのと、素人しろうと賭博が殖えたのと、家がバラックで露見し易いなぞいう原因からこうなったのである。
お母さまの思ひきつたあの処理のため、千恵はほんとに打つてつけの時機に、依頼心といふものからも射倖心しゃこうしんといふものからも切り離されました。これはしみじみ有難いと思ひます。
死児変相 (新字旧仮名) / 神西清(著)
お島は一言二言口を利いているうちに、それがつい二三日前に、ふっと引込まれて行くような射倖心しゃこうしんが動いて、つい買って見る気になった或かけもののあたった報知しらせであることが解った。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
射倖心しゃこうしんや嗜虐性の満足を求める以外に、逞しい雄雞の姿への美的な耽溺でもある。余りゆたかでない生活くらしの中から莫大な費用を割いて、堂々たる雞舎を連ね、美しく強い雞共を養っていた。
盈虚 (新字新仮名) / 中島敦(著)
名誉を世にげてくれればという射倖心しゃこうしんも手伝って
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)