対照コントラスト)” の例文
旧字:對照
代表していた。そうしてこの自動車は進取主義も少し過激の方だ。背景が東海道の松原だから殊に対照コントラスト際立きわだっている
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
この余色の隈取は色の対照コントラストからくる網膜の錯覚からも起る現象であるが、この場合にはそれではなくちゃんとまとうの皮の上に着いている色なのである。
雑魚図譜 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
まるでうれしがっている心臓のように、ぴょんぴょんねていたが、それが私の沈んだ心臓と良い対照コントラストをした。
旅の絵 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
雨がザンザン降って、新緑の中に造花生花のさまざまの色彩がさながら絵のような対照コントラストをなしたという。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
気分の突如たる対照コントラストがあり、錯雑する、大規模な、電光のような思いつきと巨人的な爆発とがある、これらはゲーテとツェルターとに恐怖を感じさせたところの特徴である(40)
殊に売子の急がしい哀れげな声は人をして自分の旅中にある寂しさをしみじみと自覚させる。新橋はそれと違ふ。此処こゝには調和と云ふよりも寧ろ旧都会と新市街との不可思議な対照コントラストがある。
新橋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
これは前のパリサイ人の学者の偽善を責めた御言と、実に著しき対照コントラストであります。イエスは偽善を憎んで、真実を愛し給う。この貧しき寡婦のような真実な心をもてば、神を見ることができるのだ。
ずいぶんな対照コントラストだとその時にちょっとおかしかった。
話の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「それは売僧まいすたくぼんならずさ。対照コントラストのために態〻わざわざ鳴らないところを拵えて置いてお上りさんに有難がらせるのさ」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「田代六さんは太っていますが、小男です。これは私の名吟ですよ。六さんの丈が低いと言わずに、一升徳利の方が高く見えると利かしたのです。対照コントラストの妙を極めていましょう?」
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「僕は乃木坂の帰りだ。恥じ入った。好い対照コントラストだもの、働き者と怠け者の」
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)