宮川みやがわ)” の例文
宮川みやがわの鰻もきょうは混雑しているであろうから、冬木ふゆきの蕎麦にしようと、誘われるままにゆくと、わたしは冬木弁天の境内に連れ込まれた。
熱田あつた八剣やつるぎ森陰より伏し拝みてセメント会社の煙突に白湾子と焼芋かじりながらこのあたりを徘徊はいかいせし当時を思い浮べては宮川みやがわ行の夜船の寒さ。
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
この医者が宮川みやがわ寛斎かんさいだ。半蔵のふるい師匠だ。その時、半蔵は無言。寛斎も無言で、ただ医者らしく頭をまるめた寛斎の胸のあたりに、手にした扇だけがわずかに動いていた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
と、先生せんせいはいって、宮川みやがわせいいてあるところへ手帳てちょう点数てんすうれました。
残された日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
是れは木挽町こびきちょう三丁目の岡村由兵衞おかむらよしべえと云う袋物商ふくろものやと云うとていが宜しいが、仲買をしてお出入先から何品なにしなをと云うと、じき宮川みやがわへ駈付けるという幇間おたいこ半分で面白い人で、また一人は伴廻ともまわ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
宮川みやがわの西岸で、宇治山田とは橋一つ隔てているだけだとある。作者は膳所ぜぜの人だから、どれが一番適当かわからぬが、参宮のちなみを以て見れば、あるいは最後のそれを挙ぐべきであろうか。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
飛騨高山の宮川みやがわに臨む街の一部。九月下旬の闇の夜。
中山七里 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
武「これはなんで、芝口しばぐち三丁目の紀国屋きのくにやと申すが何時も出入であつらえるのだが、其所そこへ誂えずに、本町ほんちょうの、なにアノ照降町てりふりちょう宮川みやがわで買おうと思ったら、彼店あすこは高いから止めて、浅草茅町あさくさかやちょう松屋まつやへ誂えて」
宮川みやがわさん、て、宿題しゅくだいの一ばんめをおきなさい。」
残された日 (新字新仮名) / 小川未明(著)