実家うち)” の例文
旧字:實家
看護婦としての手腕はチャント認められているんだし、実家うちが裕福だろうが貧乏だろうが看護婦としての資格や信用には無関係だろう。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
Nは、いつか僕の実家うちに滞在するよりは反つて、キヤンプの方が自分にとつては便利だなどと云つたことがあるが、此処は、これでも靴を
山を越えて (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
「さあ、言って下さい、お前さんが、もしお金が欲しいなら、わたしの実家うちへ行って、いくらでもお金を上げるから、あの人の居所を教えて下さい」
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「——じゃお嬢さん、私が口添えいたしますから、とにかくお吉と一緒に、川長の実家うちへお戻りなさいましな」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「だろう、それ御覧。こちらからはもう何も言い出せはしまい。だが、実を言うと、この前、僕が先生の実家うちで会ったときから見ると、先生はまた変っているな」
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
水をのみにきます廊下で、「今度などが汐時しおどきじゃ。……養生と言って実家うちへ帰したら。」
山吹 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三度のものを一度にしても、実家うちほどええとこあらへんと、しみじみ思いまっせ。
栄蔵の死 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
『ええ。こんだ六人目でせう。またそれで実家うちへ帰つてるんださうですから。』
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
その刹那の感想はなんて、あんな手紙を書くのを見ると、何うしても女学生あがりという処だ。何うも君の実家うちだって、そう悪い家だとは思われない、加之それに宮ちゃんは非常に気位が高い。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
実家うちへも帰られないので此様な汚ない空家を借りて世帯しょたいを持たして、爺むさいたッてお前さん茅葺かやぶき屋根から虫が落ちるだろうじゃアないか、本当に私を退ひかしたって亭主振って、小憎らしいのだよ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
実家うちへ帰ってまさ。但馬さんが病気で郷里くにへ行っちまったので……」
如何なる星の下に (新字新仮名) / 高見順(著)
脱ぐ必要のない住家なんだからね、君には全く僕の実家うちへ来る時よりはずつと住み好いだらうよ。
山を越えて (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
だから実家うちへ這入る事も出来ないで斯んな裏家住居うらやずまいの所へ人を入れて、てかけと云っても公然おもてむき届けた訳でもなし、碌なものも着せず、いまに時節が来ると本妻つまにすると私をだまかして置くじゃアないか
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「ほお。それじゃ失礼ですが、お実家うちは御裕福ですね」
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「お前はここからその実家うちへ帰ってくれ」
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
実家うちは、この辺……」
如何なる星の下に (新字新仮名) / 高見順(著)
実家うちまで』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はい、親戚同士とか、いとこ同士とか申すので。それにはいろいろの縁がからんでいるというのでございますよ。女のお方は伊勢の亀山にお実家うちがおありなさるとやら。どうも、ただの色恋ばかりではないらしゅうございます」
「芳浜にお前の実家うちがあるのか」
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「宇津木は、わしの実家うちじゃ」
「はい、実家うちへ宛て、一筆」