子規ほとゝぎす)” の例文
画はうまく出来てゐるが、そば久方ひさかたの雲井の空の子規ほとゝぎすと書いてあるのは、何の事だか判じかねた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
二人はこんなことを言ひながら、やつとこぶしをひらき始めたやうな蕨を手に余るほど採りつゝ歩いた。山際では鳩がのんきさうにホウ、ホウと鳴いてゐた。子規ほとゝぎすも鶯も啼いた。
父親 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
「月夜に寝ほうけて鳴出なきいづる時は常の声ともことなりぬべし。今のなくは何かは異ならん。あれ見給へ、飛びゆく姿もさやかなるを」と指さゝれて、あはれこの子規ほとゝぎすいつも初音はつねをなく物になりぬ。
すゞろごと (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
折しもかの子規ほとゝぎす軒端に近う鳴く声のする。
すゞろごと (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)