女護にょご)” の例文
事実、千代田の大奥に、ただいまどのくらいの女中がいるか知らないが、それらはみな、女護にょごしまの別世界をなして、幸いを望んでいる。
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「おとぼけなすっちゃいけません。やみのない女護にょごしま、ここから根岸ねぎしけさえすりゃァ、をつぶってもけやさァね」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「そんなわけにも参りませんが、どうでしょう、この男を泊めて下すっちゃ、——年は若いが、これなら女護にょごしまへ転がしておいても大丈夫で」
何と途轍とてつもない女護にょごが島の光景がびっこリンピイリンプを包んでることか——GOD・KNOWS。
殊に、小次郎には、女護にょごノ国へでも来た思いがした。——彼には、人々のような冗戯じょうだんも口に出ず、ただ目をみはって、近づく岸の家々と、幾艘もの、遊女たちの船に、見とれていた。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「俺にも解らねえ、二日でも、女護にょごの島みたいな寮に引止められていたんだから、手前てめえも少しは智恵が付いたろう。何とかこの先を考えてみな」
まさか、女護にょごだにでもあるまいに。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)