失策しま)” の例文
明方になると、トロ/\と寝ました。……アヽ失策しまったと眼をいて見ると、お瀧はへッついの下を焚付けて居ますが松五郎は居りません。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
失策しまった——と思ってふりかえると、氏は書き終えたらしい手紙を四角な封筒に入れ、その端の糊を嘗め嘗め封をしているところだった。
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「アッ失策しまッた、不意を討たれた。ヤどうもおそろ感心、手は二本きりかと思ッたらこれだもの、油断もすきもなりゃしない」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
失策しまったと大急ぎで飛び出すと、停車場の出口で、レインコートを引っかけた大男が、杖を振って合図をしている。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
失策しまったと思った。うわさをしていたという以上、相手が三浦なら、ロクなことはいわないにきまっている……
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
失策しまった。あの鼓が焼けずにいる。兄が老先生に送ったのだ。イヤあとから小包で私へ宛てて送り出したのを、老先生が受け取られたのかな……飛んでもない事をした」
あやかしの鼓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
第一その斬り手は大兵だいひょうではなかったこと、むしろ小兵こひょうの男で、覆面をしていたこと、斬った後に失策しまった! というような叫びを残して行ったこと、その声は細い声であったというようなこと
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そうして、すぐ失策しまったと思いました。せんを越されたなと思いました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「あッ!」僕は、おもわず失策しまった! とおもった。
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
「ああ、失策しまった」
トタンに失策しまった……と思った吾輩が、その貴婦人のヨークシャづらを睨んでニタニタと笑って見せた。トタンにその貴婦人が、鳥だか獣だか、わからない声をあげてフラフラと前へのめった。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
もう夜が白んで、松五郎は居りませんから、アヽ失策しまったと思い
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それが疾風しっぷうのごとく私を通過したあとで、私はまたああ失策しまったと思いました。もう取り返しが付かないという黒い光が、私の未来を貫いて、一瞬間に私の前に横たわる全生涯を物凄ものすごく照らしました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
失策しまった!」
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
失策しまった!」
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
失策しまった」と私は眼を開いて夜具の襟から顔を出した。
あやかしの鼓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
失策しまった」
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
失策しまった、失策った」
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
失策しまった」
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)