夫婦いっしょ)” の例文
「——元のように仲をもどして、お通と夫婦いっしょになりたいんだ。おばば、お通はおれを今でも思っていてくれてるだろうか」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あの悪党が、鞭で娘を叩いたり、顔から水をぶっ掛けながら倅と夫婦いっしょになって、この家の跡を取れと言うんだ——みんな聴いたよ、目出たい話さ」
「おめえに隠しておくのはよくねえ。すっぱりいってしまおう。おいらはおめえと夫婦いっしょになるわけにはいかねえのだ」
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
お蔦 でも、たまには一所に連れて出て下さいまし。夫婦いっしょになると気抜きぬけがして、意地もはりもなくなって、ただ附着くッついていたがって、困った田舎嫁でございます。
湯島の境内 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ほんとに負けないでね、あんたがここの立て役になったら、あたし嬉しいわ。……夫婦いっしょになってもいいわ」
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
なるほど二人の往昔そのかみの仲は、死ぬの生きるの夫婦いっしょになろうのと、そういったような深い烈しい、燃え立つような仲ではなかった。とはいえ双方好き合い愛し合った。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
今まで通りに夫婦いっしょになっていてくれというほどならば、何故、宮ちゃんが其様なにして尽している間に、少しはお前を可愛いとは思わなかったろうねえ? お前が可愛ければ
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
初め自家うちにいる間は、ただちょっと読み書きの出来る小伜に過ぎなかったのが、やがてお邸の奥様お気に入りの女中頭でアガーシュカとか何とかという女と夫婦いっしょになって、自分は倉番になり
死んでも平田さんと夫婦いっしょにならないじゃおかない。自由にならない身の上だし、自由に行かれない身の上だし、心ばかりは平田さんの傍を放れない。一しょにいるつもりだ。一しょに行くつもりだ。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
あの娘と夫婦いっしょにしてやる……
黒白ストーリー (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
、くそ味噌みそに悪くいうけれど、榊原はどうせ腐れ縁だ、なるものなら夫婦いっしょになれって、しみじみと、云ってくれたし
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
深川ふかがわのこの木場きばの材木に葉が繁ったら、夫婦いっしょになってるッておっしゃったのね。うしたって出来そうもないことが出来たのは、私の念が届いたんですよ。
木精(三尺角拾遺) (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それは、想いあっていて、そうして離れていらっしゃるのは、お可哀そうでございますけれど、でも、掛川へいらしっても、晴れて夫婦いっしょにはなれませんですしねえ。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「こんな事、聞いたぜ。黒公の奴がなア俺にいったよ。俺ア葉ちゃんと夫婦いっしょになるんだぜ、葉ちゃんが、そうしようといったんだ、って抜かしやがる。——面白くねエよ」
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
好きな許婚いいなずけの進一と、一月先になると、夫婦いっしょになることになっている娘だ、それが泥棒に……そんなことをされようものなら、泣き喚き怨み憤るは愚か、突き詰めた心で
猿ヶ京片耳伝説 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
……温順おとなしい、それは深切な人なんですけれど、男というものは、ああ見えても皆な道楽をするものですかねえ。……下宿屋の娘か何かと夫婦いっしょになって、それにもう児があるんですもの。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
万吉と夫婦いっしょになる前は、川長の座敷で仲居をしていた縁もあって、お吉はその騒ぎの折も、店の者とひとつになってお米の行方を探したが、どうしても知れなかった。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「この姉が許すによって、小次郎と夫婦いっしょになるがよいよ。……愛し合って末永くお添い!」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
磯五さんという人があって、若松屋さんと夫婦いっしょになることができないのに、若松屋さんといっしょにいては、若松屋さんも苦しゅうございますし、あなたも、苦しゅうございますからねえ。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
(葉ちゃんと夫婦いっしょに……)
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)