大相たいそう)” の例文
三月ばかりたつと、しつが出来てだんだん大相たいそうになった、起居たちいもできぬようになって、二年ばかりは外へも行かずうちずまいをしたよ。
婆あさんは膳と土瓶とを両手に持って、二人の顔を見競みくらべて、「まあ、大相たいそうしずかでございますね」と云って、勝手へ行った。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
お前がこれから世の中に出るにしても、大相たいそうな便宜になるといふもの。それやこれや考へて見ると、内に置かうよりは、遣つた方が、たれの為彼の為ではない。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
今日あたりはきっとみんなで評判を致しているのでございましょう。ミルネル画伯はあの令嬢に大相たいそう取り入るようだったなんぞと云っているのでございましょうよ。
兄が無慈悲で少しも助けてくれないので、山に入って薪をり出し、それも売れ残って海に投げこんでかえろうとすると、たちまち竜宮へ迎えられて大相たいそうな宝物を頂戴する。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「こないだは内の子供等が有楽座へ見に行って、帰ってから君のおうわさをしていましたよ。大相たいそう面白かったそうで」
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
中では大相たいそうな御馳走があり、帰りには土産みやげに一人の子供をくれる。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
大相たいそう勉強するのね。明日あした八時からかくなんて。
「昨晩は大相たいそう遅くまで勉強していらっしゃいましたね」
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)