大樹おおき)” の例文
この邸に奇寓きぐうする食客しょっかくであるが、立寄れば大樹おおきの蔭で、涼しい服装みなり、身軽な夏服を着けて、帽を目深まぶかに、洋杖ステッキも細いので、猟犬ジャム、のほうずに耳のおおきいのをうしろに従え、得々として出懸けるところ
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
寄生木になって栄えるは嫌いじゃ、矮小けちな下草になって枯れもしょう大樹おおきを頼まば肥料こやしにもなろうが、ただ寄生木になって高く止まる奴らを日ごろいくらも見ては卑しい奴めと心中で蔑視みさげていたに
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
うつくしきいてふ大樹おおきの夕づく日うするゝ野辺のべに君をはふりぬ
大塚楠緒子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)