大極殿だいごくでん)” の例文
四月二十二日、新帝安徳天皇の即位式が行なわれたが、先年の火災で焼失した大極殿だいごくでんが使えないので、紫宸殿ししんでんが評議の末、式場にあてられた。
洛中の耳も、大極殿だいごくでんのたたずまいも、やがての鐘を、偉大な予言者の声にでもれるように、霜白々と、待ち冴えている。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
院は宮が斎宮としてお下りになる日の荘厳だった大極殿だいごくでんの儀式に、この世の人とも思われぬ美貌びぼうを御覧になった時から、恋しく思召されたのであって、帰京後に
源氏物語:14 澪標 (新字新仮名) / 紫式部(著)
私は橋の下でも、あるいは大極殿だいごくでんの山門の中でも決して辞退はしないつもりである。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
神門を這入はいって大極殿だいごくでんを正面に見、西の廻廊から神苑に第一歩をみ入れた所にある数株の紅枝垂べにしだれ、———海外にまでその美をうたわれていると云う名木の桜が、今年はどんな風であろうか
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
大極殿だいごくでんのかね?」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
延喜えんぎの帝が御自身で説明をお添えになった古い巻き物のほかに、御自身の御代みよの宮廷にあったはなやかな儀式などをお描かせになった絵巻には、斎宮さいぐう発足の日の大極殿だいごくでんの別れの御櫛みぐしの式は
源氏物語:17 絵合 (新字新仮名) / 紫式部(著)