壕塁ごうるい)” の例文
御着ごちゃくの本城を防ぐための一支城であったに過ぎず、その壕塁ごうるい曲輪くるわ造りも極めて簡単な構築で、樹木の多い丘の上に
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「合戦にのぞんでこの橋ひとつが要害とは、さても岡崎は攻め易うございますな」「…………」「城砦じょうさい壕塁ごうるいはいくさのしのぎで、攻防のかなめは人にあると存じますが、……しかし、 ...
薯粥 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
こういう間に、士気いよいよ高い蜀の大軍は、猇亭こていから川口にいたる広大な地域に、四十余ヵ所の陣屋と壕塁ごうるいを築き、昼は旌旗せいきくもまがい、夜は篝火かがりびに天を焦がしていた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、一日できめ、縄取りや、壕塁ごうるいの構想なども、自身、わらじ穿きでさしずを下し
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いま東西の両軍ここにまみえ、おもとには七城の壕塁ごうるいつらねて、国境のお守りに当っておられますが、すでに中国の帰趨きすうは決したものということは充分お心のうちにはお分りであろうと存ずる。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
という声は、たちまち味方の壕塁ごうるいに伝わった。難攻不落の敵城に対して、かなり長陣の疲れを見せていた味方も、ために一脈の新しい士気しきを加えた。彼の復帰はそれだけでも大きな意義があった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)