墨縄すみなわ)” の例文
惟任これとうにも似げない小心。そのような儀、いずれでもよい。要は天守閣の絵図、墨縄すみなわの資料など、そちの手もとにあるのか、ないのか」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どちらも我儘もの同志だから、これ以上、はたから墨縄すみなわをひいても無理でしょう。お二人は一対一の自由な資格で、これからはお交際なさいまし。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
広き都に置きかね漂泊ただよいあるきの渡り大工、段々と美濃路みのじ信濃しなのきたり、折しも須原すはらの長者何がしの隠居所作る手伝い柱を削れ羽目板をつけろと棟梁とうりょう差図さしずには従えど、墨縄すみなわすぐなにはならわぬ横道おうどう
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
……いつか宿直とのいの折、光秀どの御自身のおことばでは、大内城おおうちじょう里見城さとみじょうなどの天守の写し図も、角倉すみくらなにがしの墨縄すみなわの秘書なども、すべて、お手許に御秘蔵とか聞きました。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)