垂々だらだら)” の例文
寂しい、美しい女が、花の雲から下りたように、すっとかげって、おなじ堀を垂々だらだらりに、町へ続く長い坂を、胸をやわらかに袖を合せ、肩をほっそりとすそを浮かせて、宙にただようばかり。
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
顛倒てんどうして慌てるほど、身体からだのおしに重みがかかる、とその度に、ぐ、ぐ、と泣いて、口から垂々だらだらと血を吐くのが、咽喉のどかかり、胸を染め、乳の下をさっと流れて、仁右衛門のあしのうら生暖なまあたたこう垂れかかる。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)