四日市よっかいち)” の例文
勘定かんじょうをして宿を出て、停車場ステーションへ着いた時、女ははじめて関西線で四日市よっかいちの方へ行くのだということを三四郎に話した。三四郎の汽車はまもなく来た。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それよりも大廟たいびょうの伊勢というべきでありましょう。四日市よっかいちや津や松阪や宇治山田は、この国の大きな町々であります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
ところどころ汽車にも乗って、熱田あつたの町まで行った。熱田から便船で四日市よっかいちへ渡り、亀山という所にも一晩泊り、それから深い寂しい山路を歩いて伊賀近江おうみ国境くにざかいを越した。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それから、関、亀山かめやま四日市よっかいち、桑名、宮、岡崎、赤坂、御油ごゆ、吉田、蛸は大威張りで駕籠にゆられて居眠りしながら旅をつづけた。宿に着けば相変らず夜ふかしと朝寝である。
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
夫は格子こうしのとこに立ってて、実は今さっき、伊勢の四日市よっかいちい帰る人あって湊町みなとまちの駅まで送って行って、戻りしなに心斎橋筋散歩してたら、光子さんのいなさるとこ確かこの辺やったなあ
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そういうわたしは、相州そうしゅう鎌倉かまくらにも小田原にも、上総かずさ富津ふっつにも時を送ったことがあり、西は四日市よっかいち神戸こうべ須磨すま明石あかしから土佐とさの高知まで行って見て、まんざら海を知らないでもありませんでした。
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)