右筆ゆうひつ)” の例文
一、大小監察右筆ゆうひつ等の類無用に属す、廃職なるべし。記録布告等は下院にてなすべし。かくのごとくなれば簡易の政事に帰するなり。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
藤森弘庵、通称は恭助、名は大雅ひろまさ、字は淳風じゅんぷう、後に改めて天山てんざんと号した。父は播州ばんしゅう加東郡小野の城主一柳ひとつやなぎ家の右筆ゆうひつであった。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ここへ食客となって長逗留ながとうりゅうしたまま、いつかずるずるべったり頼朝の右筆ゆうひつとなってしまい、また、近郷の絵図など根気よく描いている画工藤原邦通くにみちであった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのほか舞の若太夫、山口一露斎、右筆ゆうひつの上坂大炊助どの、このかた/″\ものこられました。
盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
政元は行水ぎょうずいを使った。あるべきはずの浴衣よくいはなかった。小姓の波〻伯部ははかべは浴衣を取りに行った。月もない二十三日の夕風はさっと起った。右筆ゆうひつの戸倉二郎というものはつっと跳り込んだ。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
世をふうして美濃みのに流され、後帰って出家し、東福寺に入り、仏照派の下僧げそうとなり、栗棘庵りっきょくあんに住み、右筆ゆうひつとなり松月庵に住んだ。で、徹書記てっしょきともよび松月庵正徹ともいう。また清巌せいがん和尚ともいった。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)