取組合とっくみあ)” の例文
実は、取組合とっくみあいたいくらいなものだった。「ちと、お慰みにごらん遊ばせ。」……おまけに、ぽッとあかくなった、怪しからん。」
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
頭から足の先まで、そっくり同じ、二人ににん総監の取組合とっくみあいだ。しかも、それが夢でもなければ、お芝居でもない。白昼、警視庁総監室での出来事だ。
猟奇の果 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
フィリップは豚を小屋の隅に追い詰めて、短時間の取組合とっくみあいの後、取りおさえてしまった。
……こう塩辛い、大沼をながめるうちに、山下の向う岸に、泥を食って沈んだ小船の、ふなばたがささらになって、鯉ならまだしも、朝日奈あさひな取組合とっくみあったわにあごかと思うのを見つけたのも悲惨です。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そばに居ちゃ、もうこっちが撮出つまみだされるまでも、横面よこつら一ツ打挫うちひしゃがなくッては、新橋へ帰られまい。が、私が取組合とっくみあった、となると、随分舞台から飛んで来かねない友だちが一人居るんだからね。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)